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高齢者や障がい者の支援

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高齢者や障がい者の支援

当事務所では高齢者や障がい者の支援を積極的に行っております。

社会福祉協議会、地域包括支援センター、介護事業所、一般の方などさまざまな方からご相談いただいております。

お気軽にご相談ください。

お問い合わせは TEL 06-6940-4110


認知症、知的障がい、精神障がいのある方

将来が心配・親亡き後が心配な方

認知症、知的障がい、精神障がいのある方

認知症や知的障がい、精神障がいのある方を支援する方法に成年後見制度を利用するものがあります。


成年後見制度とは



成年後見制度とは認知症知的障がい精神障がい等の精神上の障がいによって判断能力が不十分な方の支援を目的とした制度です。

判断能力が不十分ですと、悪徳商法に引っかかったりすることがおこりえます。また、介護サービスや施設を利用するための契約などの法律行為や財産管理を自分で行うことが難しくなります。

そこで、このような方々に代わり、契約や財産管理を行うことで支援をしていくのが成年後見制度です。

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。


成年後見制度でできること



成年後見制度でできることは、「財産管理に関する事務」と「生活や療養看護に関する事務」(身上監護)です。


(1) 財産管理に関する事務

  • 預貯金の管理・払い戻しなどの金融機関との取引
  • 日常生活における金銭(生活費)の管理
  • 預貯金通帳、キャッシュカード、印鑑(銀行印・実印)、印鑑登録カード、権利証、年金関係書類、その他有価証券や賃貸借契約書などの重要な書類等の保管
  • 公共料金の支払い
  • 年金の受け取り
  • 不動産の売買・賃貸契約
  • 遺産分割や相続の承認

などを行います。

ご本人様の預貯金や不動産などの財産の管理をしますので、悪徳業者の被害にあうことを防ぐこともできます。


(2)「生活や療養看護に関する事務」(身上監護)

  • 介護サービスの利用契約や費用の支払い
  • 要介護認定の申請
  • 福祉施設への入所契約や費用の支払い
  • 病院への入院契約や費用の支払い
  • 介護職などの関係者とのカンファレンスや連絡・調整
  • 本人の生活状況の確認

などを行います。

例えば、施設に入所したり、介護事業者を利用しようとすると、施設や事業者と契約を結ぶ必要があります。
しかし、ご本人様は判断能力が不十分なため契約を結ぶことができません。
そこで成年後見人等がご本人に代わって契約を結びます。

法定後見制度



成年後見制度には、ご本人様の判断能力の有無によって、法定後見制度任意後見制度の2種類があります。

法定後見制度は、認知症や知的障がい・精神障がい等の精神上の障がいですでに判断能力が不十分な状態にある方がご利用いただける制度です。

家庭裁判所に申立て、審判を経て利用できます。

判断能力の低下の度合いによって後見保佐補助の3類型に分けられます。


(1)後見(事理弁識能力を欠く常況)

後見は3類型の中では最も状態が重く、本人の判断能力が全くないような状態です。

具体的には、日常の買い物でさえ自分ではできずに、誰かに代わりにやってもらう必要があるあるような方が該当します。

後見に該当する場合は、成年後見人が選任され、その成年後見人が本人に代わって財産を管理したり、本人が不利な契約を結んでしまった場合はそれを取り消したりします。


(2)保佐(事理弁識能力が著しく不十分)

保佐は本人の判断能力が著しく不十分であり、財産を管理したり処分したりするには常に援助してもらう必要がある状態です。

具体的には、日常の買い物くらいは自分でできますが、不動産や自動車の売買、増改築、相続の承諾などは自分ではできないような方が該当します。

保佐に該当する場合は、保佐人が選任され、その保佐人が金銭の貸し借りや不動産の売買などの重要な取引行為(民法13条に規定されています)について、本人の不利益にならないように同意したり、また取り消したりします。

民法13条に規定されている以外の行為についても同意や取り消しをしたり、本人を代理して契約などをできるようにするには別途家庭裁判所の審判が必要です。


(3)補助(事理弁識能力が不十分)

補助は本人の判断能力が不十分であり、財産を管理したり処分したりするには援助してもらう必要がある場合がある状態です。3類型の中では最も状態が軽いです。

具体的には、不動産や自動車の売買、増改築、金銭の貸し借りなどの重要な取引行為(民法13条に規定されています)は自分でもできるかもしれませんが、本人のためを考えると誰かに代わってやってもらった方が良いという程度の方が該当します。

補助に該当する場合は、補助人が選任され、その補助人が金銭の貸し借りや不動産の売買などの重要な取引行為(民法13条に規定されています)のうち本人が希望する行為について、本人の不利益にならないように同意したり、また取り消したりします。

また、これらの行為について本人を代理して契約などをできるようにするには別途家庭裁判所の審判が必要です。


注)後見・保佐・補助のどの類型に該当するのかは医師の診断によって決まりますので、まずかかりつけのお医者さんに診断してもらいましょう。
なお、申立ての際に家庭裁判所に提出する診断書には家庭裁判所で指定する書類を使用します。
これはご本人様の住所地を管轄する家庭裁判所でもらえます。


法定後見制度を利用するには



法定後見制度を利用するには、家庭裁判所に利用の申立てを行います。

申立てを行うことができる人(申立人)は法律で

  • 本人
  • 配偶者
  • 4親等内の親族
  • 検察官
  • 任意後見受任者
  • 任意後見人
  • 任意後見監督人

と決まっています。

また、身寄りがいないなどで申立てをする人がいない方の場合、市町村長に申立権があります。

法定後見開始までの流れ



法定後見の開始までの流れは次の通りです。


①相談

②家庭裁判所への申立て

後見人等候補者を決め、必要書類をそろえて申立てをします。
申立ては原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。

③調査・鑑定

家庭裁判所が本人や申立人、後見人等候補者に面会し確認します。
また、本人の親族に対し、書面で申立ての概要と後見人等候補者などを伝え、親族の意向を確認します。
必要があれば、本人の判断能力を判定するため精神鑑定を行う場合もあります。

④審理・審判

家庭裁判所は後見等の開始の審判を行い、後見人等を選任します。そして、本人、申立人、成年後見人等に審判所が送られてきます。

⑤登記

審判所が送られてきてから2週間以内に不服申立てがされなければ、審判が確定し、登記されます。

⑥財産目録等の作成

審判確定後1ヶ月以内に「財産目録」と「年間収支予定表」を作成し、家庭裁判所に提出します。

⑦後見事務

法定後見の事務(「財産管理に関する事務」・「生活や療養看護に関する事務」)を行います。

普段より領収書の整理や帳簿などの作成等を行い、定期的に(おおむね年に1回)家庭裁判所に報告しなければなりません。



注)後見事務の開始まで時間がかかる場合があります。

申立ての準備として、関係者との打ち合わせ、申立人の調整、親族調査、財産調査、必要書類(同意書、戸籍謄本、住民票、登記されていないことの証明書、不動産登記簿謄本、預貯金通帳のコピーなどの財産関係の書類など)集めなどで時間がかかります。

また申立てを行ってから審判が確定するまでも時間がかかることがありえます。

準備期間を含めると4~6ヶ月かかることがありますので、遺産分割協議書を作らなければならない、施設に入所する契約を結ばなければならないなどで急ぐ場合は、早めに利用を検討された方がよいでしょう。



★後見人等候補者について

申立書にはだれが成年後見人等になるのか、その候補者を記入します。

配偶者やお子様など身内の方が成年後見人等になることが多いですが、ご家族の事情によっては家庭裁判所は第三者(行政書士や弁護士などの専門家)を成年後見人等にすることもあります。

また最初から第三者を候補者としておくこともできます。
当事務所でもお引き受けすることができますので、ご相談ください。

*平成25年に親族以外の第三者が成年後見人等に選任されたものは全体の約57.8%で、親族が成年後見人等に選任されたものを上回りました。
成年後見事件の概況」 最高裁判所事務総局家庭局 より


成年後見人等の監督について



法定後見制度を利用するにあたり、一番心配なのが成年後見人や保佐人、補助人が本人の財産を使い込んだりしないか、ということだと思います。

法定後見制度では、このような事態にならないよう、成年後見人や保佐人、補助人を家庭裁判所が監督することになっています。

成年後見人や保佐人、補助人は財産の状況や活動内容を家庭裁判所に定期的に報告しなければなりません。

こうすることによって、成年後見人や保佐人、補助人が本人の財産を横領したりすることを防いでいます。


★私たち専門家が成年後見人や保佐人、補助人を務める場合はより厳格な業務遂行と規範意識が必要です。

そこで、私の所属しているコスモス成年後見サポートセンターでは、その会員である行政書士に対し3か月に1回の報告を義務付け、厳重に監督しています。

また、ご本人様に賠償しなければならないようなことがおこった場合にそなえ、全会員が成年後見賠償責任保険に加入しております。

将来が心配・親亡き後が心配な方


  • 一人暮らしのため将来が心配な方
  • 本人、配偶者ともに高齢のため将来が心配な方
  • 体が不自由になってきて困っていることがある方
  • 障がいのあるお子様がいて親亡き後が心配な方

のサポートをさせていただいております。
お気軽にご相談ください。

以下のような方法でサポートさせていただいておりますが、その他「こんなことは頼めないか」などお気軽にご相談ください。


任意後見制度を利用したサポート



任意後見制度とは、今の時点では判断能力に問題のない方が信頼のできる人(親族の他、行政書士や弁護士などの第三者など)と任意後見契約を公正証書で結んでおき、将来判断能力が不十分になったときにその人に成年後見人となってもらうという制度です。

認知症になる前の財産管理やお亡くなりになった後の埋葬、病院等の費用の清算なども契約しておくことができます。

法定後見制度では必ずしも自分が信頼する人が後見人になるとは限りません。

また、任意後見制度では代理権の範囲を自分で決めておくことができるので、将来認知症になった時に任意後見人にしてもらいたいことを自分で決めておきたい方に向いている制度です。

任意後見契約は契約を結んだ時点で後見が始まるのではなく、将来判断能力が不十分になった時点で始まります。

そして、任意後見が必要な状態(認知症などで判断能力が不十分になった状態)になったとき、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。

以後、任意後見人は任意後見監督人の監督を受け、きちんと任意後見人の業務を果たしているか、横領などしていないかなどをチェックされます。

任意後見契約でできること



任意後見契約には次の種類があります。

1 将来型

任意後見契約を結んだ後、将来ご本人様の判断能力が落ちた時に契約の効力を発生させるタイプです。

今現在は身の回りのことは自分でできるので問題ないが、将来が不安という方に向いています。

2 移行型

任意後見契約の他に事務委任契約(財産管理委任契約とも言われます)や見守り契約をセットで結び、日ごろからご本人様との関係を維持し、ご本人様の判断能力が落ちた時に滞りなく任意後見契約の効力を発生させるタイプです。

また、移行型では、ご本人様のお亡くなりになった後の事務を委任することも可能です(死後の事務委任契約)。

事務委任契約(財産管理委任契約ともいいます)
判断能力は十分にあるが体が不自由で外出できないなどの場合に、取り決めた特定のことを代わりに行う契約です。

たとえば、

  • 年金のお引き出しなど金融機関との取引
  • 公共料金など各種費用の支払い
  • 通帳、キャッシュカード、印鑑(銀行印・実印)、印鑑登録カード、権利証、年金関係書類、その他有価証券や賃貸借契約書などの重要な書類等の保管

など、依頼したいことを事前に決めておきます。

ただし、「事務委任契約」(財産管理委任契約)のみを単独で結んだ場合、監督するものがいません(裁判所などによる監督がありません)。

そこで、「任意後見契約」とセットで結ぶことをお勧めします。

「任意後見契約」と「事務委任契約」をセットで結ぶと、私の場合、コスモス成年後見サポートセンターによる監督を受けることになりますので、安心していただけます。


見守り契約
認知症などで判断能力が不十分になっていないか=任意後見を開始する状態になっていないか、を定期的に確認する契約です。

当事務所では、月1回確認コースと週1回確認コースを設けております。

親御さんが遠方で一人暮らしをされている場合などの確認にもご利用できます。

「見守り契約」は「任意後見契約」とセットで結んでおくと、認知症になったときにスムーズに任意後見に移行できて便利です。

死後の事務委任契約
ご本人様がお亡くなりになった後、死亡届や葬儀・埋葬に関する事務、医療費・施設利用費の清算などを行う契約です。

任意後見契約はご本人様がお亡くなりになった時点で終了します。

それ以降のことは行うことができません(法的に権限がありません)。

ご遺族がいらっしゃれば引き継ぐことになりますが、いらっしゃらない場合は「死後の事務委任契約」をご検討されてはいかがでしょうか。

ただし、「死後の事務委任契約」は単独で結ぶことはできません。

「任意後見契約」とセットで結ぶ必要があります。

遺言書を利用したサポート



遺言は人生最後の意思表示です。

あなたのお気持ちを通すと同時に、残された方々がもめて「相続」が「争族」とならないようにすることが大事です。

以下に当てはまる方は、遺言書の作成を検討されてはいかがでしょうか。

  • 結婚しているが、子供はいないという方
  • 子供が二人以上いる方
  • 特定の子供(障がいのある子など)に財産を残したい方
  • 事業をしている方、会社経営者
  • 相続人がいない方
  • 内縁関係にある方
  • 2回以上結婚し、違う相手との間に子供のいる方
  • 不動産をお持ちの方


遺言とは



自分の死後、自分の財産(遺産)をどのように処分したいのか、などを言い残すことが遺言です。

しかし、遺言が法律上の効力を生じるには、法律上の方式や手続きに従わなければなりません。

遺言の方式には、普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。

特別方式の遺言とは、危険な事態が迫っているなど、特殊な状況下での例外的な方式ですので、ここでは普通法式の遺言について記します。

まず、遺言は遺言書を作らないと法律上の効力は生じません。

そのうえで、普通方式の遺言には次の3種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言


自筆証書遺言



自分で作成することができる遺言書です。

簡単で費用もかかりませんが、自筆証書遺言には問題も多く、無効になるケースもあるため専門家としてはおすすめしません。

例えば、

  • 自筆で書かなければなりませんので代筆は不可ですし、ワープロ打ちもダメです。
  • 遺言書の保管面での問題もあります。遺言書を紛失したり、遺言書の内容が自分にとって不利な相続人が遺言書を隠してしまうということも起こり得ます。

また、家庭裁判所の検認が必要です。

遺言書が封筒に入っている場合には、その開封も家庭裁判所で行います。

検認手続きをしなかったからといってその遺言書が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料を科せられます。

検認の申し立てには、申立書、申立人・相続人全員の戸籍謄本、遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本などが必要です。

また、印紙代等の費用もかかりますので、家庭裁判所に確認してください。

遺言書があったがためにかえってトラブルとなり、「相続」が「争族」となるケースもあります。

書き方や内容について、専門家のアドバイスを受けることを考えられてはいかがでしょう。

公正証書遺言



公証役場で遺言内容を口述し、それを公証人が公正証書にする遺言方式です。

その際、2名以上の証人の立ち会いが必要です。

なお、この証人には次の人はなれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人、受遺者、それらの配偶者と直系血族
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

公正証書遺言は自筆証書遺言と違って、遺言書が無効になるといったことは起こりません。

また、公証役場で遺言書の原本を保管してくれるので紛失、変造といった危険もありません。

遺言の執行時に家庭裁判所の検認を受ける必要もありません。

病気などで字が書けない方も作成することができます。

デメリットとしては、

  • 証人となる人を2名以上探すこと
  • 公正証書作成等の費用がかかること
    があげられます。

公正証書遺言は公証役場にいきなり行って作成するのではなく、事前の準備が必要ですので、当事務所にご相談ください。


遺言書作成の準備



遺言書は、自分の死後、自分の財産(遺産)をどのように処分したいのかなどを書き残すものですが、きちんとした中身でないと残された相続人たちをかえって混乱させたり、争いを生じて「相続」ならぬ「争族」にしてしまいかねません。

遺言書を作成する前にはしっかり準備をすることが必要です。



①財産(遺産)の整理

財産(遺産)を整理して何があるのかを把握し、相続財産目録を作成します。

遺言書から重要な財産が抜け落ちていると相続人同士で争いがおきます。

また、抜けている財産がないか相続人たちが探す手間が省けますし、だれに何を相続させるのかを考えやすくなります。

この相続財産目録には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(借金など)も記載しておきます。

そうすることで、相続人は単純承認するのか、限定承認するのか、相続放棄するのかの判断がしやすくなります。


②内容の決定

だれに何を相続させるかを決定します。

ここで注意していただきたいのは、遺言書の内容が絶対守られるというわけではない、ということです。

相続人が全員で遺産分割協議を行い、遺言書の内容と異なる分割内容にすることもあります。

遺言者(亡くなった方)の作った財産ですので、その意思は重視されますが、残された相続人(生きている方)の意思も重視されるからです。

また、法定相続人には遺留分が存在します。

直系尊属(父母・祖父母)だけが相続人の場合は遺産の1/3、それ以外の場合は1/2が遺留分となります。

なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。

全財産を他人に遺贈するとした場合、残された家族は困ってしまいます。

そこで、例えば配偶者Aと子Bが残された場合、AとBは遺産の1/2を遺留分として請求することができます。

すなわち、遺留分を侵害するような遺言書を書くともめる可能性があるわけです。

なお、遺留分減殺請求権は、遺留分権者が相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年、または相続の開始の時から10年で消滅しますので、注意が必要です。

③遺言執行者を選任する

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために手続きを行う人です。

こういった手続きは相続人が行うものですが、手間がかかりますし相続人の間でもめたりするので、遺言書で遺言執行者を指定しておくとよいでしょう。

当事務所でも遺言執行者をお引き受けしております。


④公正証書遺言の原案を作成する


⑤公証役場で公正証書遺言を作成


親亡き後の問題



知的障がいや精神障がいのあるお子様をお持ちの親御様からよくご相談いただきます。

「自分(親)になにかあったとき、この子はどうなるんだろう」と心配なさっているようですが、これを「親亡き後の問題」といいます。

この「なにかあったとき」は大きく二つに分けられます。

1 親が認知症になったり、事故や病気・加齢で子の世話をできなくなった場合

2 親が亡くなった場合

それぞれについて対応方法を考えていきましょう。


1 認知症、事故・病気・加齢



認知症は誰もがなりえるものです。

親御様が認知症になった場合、ご親族の方が親御様の世話をされるか、法定後見制度を利用して親御様に成年後見人をつける必要があります。

法定後見制度を利用するにしても、申立ての準備から実際に後見がスタートするまで4~6ヶ月ほどかかることがあります。

また、ご親族の方がいらっしゃらないか、いても申立人になってくれない場合は市町村長申立てになるため、さらに時間がかかることがあります。

しかも親御様の成年後見人は親御様のことしかしません(できません)ので、お子様にすでに成年後見人をつけているのでなければお子様にも成年後見人をつける必要がでてきます。

また、(親と子それぞれの)成年後見人同士の意思疎通がどうなのかという問題も出てきます。

その他、事故や病気・加齢によって動けなくなることも十分考えられます。

その場合は親御様には判断能力がありますので、法定後見制度を利用することはできません。

★対応方法★

まず親御様ですが、認知症になった後ですと法定後見制度を利用するかご親族に世話してもらうしかありませんので、事前に対策を行う必要があります。

この場合あらかじめ任意後見契約を結んでおくとよいでしょう。

  • 将来認知症になった後にして欲しいことをあらかじめ契約しておく「将来型」
  • 認知症になった後にして欲しいことだけでなく、認知症になる前でもして欲しいことがあればそれを契約しておいたり、自分が亡くなった後の葬儀や病院等の支払いを依頼しておく「移行型」

この2つがありますので、どちらかを契約しておくとよいと思います。

ただし将来型では、判断能力はあるものの、事故や病気・加齢によってお子様の世話をできなくなった場合の対応はできませんので、その心配がある場合は「移行型」にしておくとよいでしょう。

続いてお子様ですが、すでにお子様に第三者の後見人をつけているのなら問題はありません。

しかし、親御様がお世話をされているケースがほとんどだと思います。

親御様が認知症などになられた場合のことを考えてあらかじめ後見人をつけておくのがよいのですが(認知症になってからだと時間がかかります)、その場合お子様の財産管理や身上監護は後見人が行うことになりますので、後見人をつけることをためらう方が多いようです。

この場合、親御様と第三者が二人で後見人になる(複数後見)というのはいかがでしょうか。

親御様がしっかりされている間は親御様が中心となって後見を行い、認知症や病気になって後見ができなくなったらもう一人が引き続いて後見を行っていきます。

これでしたら途中で途切れてしまうこともありませんし、二人で後見人をしている間にお子様のことを理解できますので、安心して任せられると思います。

親が亡くなった場合



親がお子様より先に亡くなる場合、事前にどのような準備をしておくべきかですが、


1.親の法定相続人がそのお子様一人だけで、そのお子様にすでに後見人等がついている場合


2.親の法定相続人がそのお子様一人だけだが、そのお子様に後見人等がついていない場合


3.親の法定相続人がそのお子様以外にもいて(子供が複数いるなど)、そのお子様にすでに後見人等がついている場合


4.親の法定相続人がそのお子様以外にもいて(子供が複数いるなど)、そのお子様に後見人等がついていない場合


ざっと考えてこの4パターンが考えられると思います。

1.親の法定相続人がそのお子様一人だけで、そのお子様にすでに後見人等がついている場合



この場合は、親の遺産はすべてそのお子様にいきますし、必要な相続手続きは後見人等が行います。

ただし、遺産をそのお子様以外にも渡したいなどの場合は遺言書を作成し、遺言執行者(その遺言の内容を実行する人)を付けておくとよいでしょう。

また、親の葬式や埋葬、病院費用の支払いなどの手続きはお子様の後見人はできませんので、他にしてくれる親族などがいない場合は、死後事務委任契約を結んでその人に依頼しておくとよいでしょう。

2.親の法定相続人がそのお子様一人だけだが、そのお子様に後見人等がついていない場合



親の遺産はそのお子様にいきますが、必要な相続手続きをする人がいません。

また、お子様の契約ごとなどをする人もいませんので法定後見人等を付けることになりますが、他に親族がいなければ法定後見の申立人がいませんので(親族がいても法定後見の申立人になってくれなければ)、市町村長申立てとなり、時間がかかることになります。

その間のお子様の生活が成り立てばいいですが、何があるか分かりませんので心配ではあります(相続手続きが終わるまでは、預金などの親の遺産は使えません)。

ですので、親御様が元気なうちにお子様の法定後見の申立てをしておくことをお勧めします。

遺言書を書いておきたい場合は、遺言執行者を付けておくとよいでしょう。

親の葬式や埋葬、病院費用の支払いなどの手続きについては、他にしてくれる親族などがいないのであれば、死後事務委任契約を結んでその人に依頼しておくとよいでしょう

3・親の法定相続人がそのお子様以外にもいて(子供が複数いるなど)、そのお子様にすでに後見人等がついている場合



例えば子供が複数いるなど、親の法定相続人が障がいのあるお子様以外にもいる場合ですが、この場合は遺言書を書いておくとよいでしょう。

お子様に後見人等がついていますので法定相続分は確保してくれますが、そのお子様に遺産を多めに渡したいとか、自宅を渡したいなどとお考えでしたら遺言書は必須です(遺言執行者も付けておいてください)。

そして、そのお子様以外の法定相続人にきちんと話して理解を得ておくようにしたほうがよいでしょう。

たしかに遺言書を作っておけばそのとおりに分割されますが、遺留分の問題もありますし、なにより今後もそのお子様を助けてもらう必要があると思いますので、感情をこじらせてはいけないからです。

4.親の法定相続人がそのお子様以外にもいて(子供が複数いるなど)、そのお子様に後見人等がついていない場合



親御様が元気なうちにお子様の法定後見の申立てをしておくことをお勧めします。

遺言書がなければ遺産分割協議をすることになりますが、後見人等がいないと遺産分割協議をすることができません。

そこから法定後見の申立てをしますので時間がかかります。

また、この場合も遺言書を作成しておくことをお勧めします。

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